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小児急性中耳炎の治療(特に鼓膜切開)について

Q. 子どもの急性中耳炎の治療(特に鼓膜切開術)について教えてください。

A. 小児の急性中耳炎については診療ガイドラインというものがあり、軽症・中等症・重症それぞれに治療チャートが記されています。基本は適切な抗生剤の投与ですが、抗生剤だけでは良くならないときや重症の場合に鼓膜切開術(鼓膜に穴をあけ中耳の膿を出す治療)を行います。

原因となっている細菌の種類によって効果を示す抗生剤は異なります。急性中耳炎の原因となる細菌は主に肺炎球菌、インフルエンザ菌(ウイルスのインフルエンザとは全く別物の細菌)、モラクセラ・カタラーリスの3種類です。小児に使用できる内服の抗生剤でこれら3種類の細菌すべてに常に良好な効果を示すものはありません。

そこで重要なのが細菌培養検査と薬剤感受性検査です。どの細菌が原因になっており、どの抗生剤が効果的なのかを調べる検査です。保険診療の制約上、すべてのケースで検査ができるわけではありませんが、少なくとも重症例、難治例には行うべきものです。施設によっては全く検査しないところもあり注意が必要です。

適切な抗生剤の投与なくして、鼓膜切開のみで中耳炎を治すことは困難です。鼓膜切開はあくまでも補助手段です。中耳炎になるたびに毎回鼓膜切開行い、抗生剤の選択はいい加減な(抗生剤の種類がコロコロ変わる、あるいは内容を確認もせずに小児科で処方されている抗生剤で良いと説明するなど)クリニックは要注意です。

尚、最近は肺炎球菌ワクチンの効果が出ているのか、以前と比べると小児の中耳炎もあまり重症化せず、抗生剤内服のみで治るケースが多くなった印象です。当院では鼓膜切開をする機会も激減しました(ちなみに令和元年6月に鼓膜切開術を行ったのは1例のみでした)。

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